年齢によるおりもの
の量の変化
初潮~10代
エストロゲンの分泌が増加し、初潮を迎えるとともにおりものの量も増えます。
初潮から10代にかけて、エストロゲンの分泌が不安定で、おりものの量も変動しやすい時期です。
20~30代
エストロゲンの分泌がピークに達するのは20代後半から30歳前半です。
この時期になると、おりものの量が最も増加します。
40代
40代に入ると、エストロゲンの分泌が減少し始めます。
エストロゲンの減少に伴い、おりものの量が減少し、生理の安定性に変化が生じることがあります。
更年期・閉経後
更年期に入ると(閉経の前5年間と後5年間を含む10年間)、エストロゲンの分泌が急激に減少します。そのため、おりものの量も急激に減少します。
更年期から閉経後にかけて、おりものの量が徐々に減少し、閉経後2〜3年後にはほとんどおりものが出なくなる傾向があります。
生理前と妊娠初期の
おりものの見分け方
生理前
量
女性ホルモンの分泌が減少し、おりものの量が少なくなります。
色
おりものは白濁しており、粘り気が強く、時折下着に付着すると黄色味が見られることもあります。生理前にはわずかな経血が混ざり、ピンク色に変化することもあります。
におい
酸っぱいようなにおいが強まります。
妊娠超初期
量
妊娠超初期におけるおりものの量は、ホルモンの分泌が持続的に高まり、増加します。
色
妊娠超初期のおりものはサラッとしており、粘り気が少ない特徴があります。色は白濁したり、クリーム色に変わることもあれば、黄色味が見られることもあります。また、着床によって子宮内膜がわずかに傷つくことがあるため、おりものに少量の出血が混ざり、ピンク色や茶色っぽく見えることもあります。
におい
酸っぱいようなにおいが強くなることがあります。
注意が必要なおりもの
の量が多い時期
思春期以前におりものが多い場合
エストロゲンの分泌は個人によって異なり、通常8〜9歳ごろから始まり、この時期に卵巣と子宮が発達します。エストロゲンの増加に伴い、通常は白色や黄色っぽいおりものが現れ、最終的に初潮が始まります。しかし、思春期以前でありながら急におりものが増える場合、何らかの異常が起こっている可能性が考えられます。
更年期・閉経後におりものの量が増える場合
更年期に入ると、エストロゲンの分泌が急激に減少し、閉経後にはおりものがほとんど出なくなる傾向があります。通常、エストロゲンの減少に伴いおりものの量も減少します。そのため、更年期または閉経後におりものの量が増加している場合、何らかの異常が発生している可能性が考えられます。
生理周期に関係なく
大量のおりものが毎日出る場合
「毎日おりものが多いのは正常か?」と、おりものの頻度が心配な人もいるでしょう。おりものは膣内に細菌などの侵入を防ぐ役割を果たしています。おりものの頻度には個人差がありますが、通常、毎日おりものがあっても問題ありません。ただし、生理周期に関係なく、大量のおりものが毎日出る場合は注意が必要です。
おりものの量と性感染症
おりものの量が増えて痛みがあるなら性器クラミジア感染症に注意!
さらさらとした水っぽいおりものが大量に出て、性行為や排尿時に痛みを感じる場合、「性器クラミジア感染症」の可能性があるかもしれません。
性器クラミジア感染症にかかると、排尿時や性交時に骨盤痛や頻尿のような痛みが生じることがあります。
一部の人は自覚症状がなく、感染に気づかないこともよくあります。性器クラミジア感染症は、女性でもっとも一般的な性感染症の一つと言われています。無視すると、卵管炎や腹膜炎などを引き起こす危険性があるほか、子宮外妊娠や不妊の原因となることもあります。妊婦の場合、流産や早産のリスクも高まるため、注意が必要です。カップルのどちらか一方が感染している場合、性交渉を通じて相手に感染を広げることがあり、相互感染が繰り返されることもあります。そのため、性器クラミジア感染症が診断された場合、パートナーも検査を受けることをお勧めします。
おりものの量が増えて生臭いなら膣トリコモナス症に注意!
おりものが増え、生臭い不快な臭いがある場合、「膣トリコモナス症」の可能性が考えられます。
膣トリコモナス症にかかると、以下のような症状も現れることがあります。
- 黄白色または黄緑色で泡立つおりもの
- 膣内のかゆみ
- 排尿時の痛み
- 性行為時の痛み
- 膣の痛み
これらの症状は個人差があり、症状がなくても感染が進行することがあります。膣トリコモナス症は、膣トリコモナス原虫が膣内や子宮頚管に感染することによって引き起こされます。感染の主な経路は性行為ですが、共有タオルや多くの人が利用する浴槽やトイレの便座を介して感染することもあります。パートナー同士で感染を相互に広げるピンポン感染が発生しやすいため、膣トリコモナス症が診断された場合、パートナーも検査を受けることをお勧めします。
おりものの量が増えてイボがあるなら尖圭コンジローマに注意!
おりものが増え、性器周辺にイボが発生する場合、「尖圭コンジローマ」の可能性が考えられます。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスによる感染によって、イボが生じる性感染病です。主に性行為によって感染が広がります。尖圭コンジローマの潜伏期間は3週間から6ヶ月ほどであり、痛みやかゆみがないことが多いため、イボが形成されてから気付くことが少なくあります。
イボが生じる主な部位
- 外陰部
- 膣
- 子宮頸部
- 尿道口
- 肛門内
- 肛門周辺
これらのイボは鶏冠状やカリフラワー状など様々な形状があり、硬くざらついていることが特徴です。また、イボが急激に成長すると、痛みやかゆみが生じたり、損傷して出血したりすることもあります。
おりものの量が増えて白いかけら(塊)があるなら膣カンジダ症に注意!
おりものが増加し、カッテージチーズ、酒粕、ヨーグルトのような白いかけらが混じっている場合、膣カンジダ症が疑われます。
さらに、外陰部から膣内にかけてかゆみ、灼熱感、またはズキズキする痛みなどの症状も現れることがあります。膣カンジダ症は、女性の一部において膣内に常在しているカンジダ菌が、何らかのトリガーで増殖することによって引き起こされる疾患です。
原因
- 抗菌薬や免疫抑制剤の使用
- 免疫機能の低下(風邪や睡眠不足などのストレスによる)
- 糖尿病
- 通気性の悪い下着の着用
- 膣内の不適切な自己清浄
- 妊娠
- 性行為によるカンジダ菌感染
初めて膣カンジダ症の症状が現れた場合、婦人科または産婦人科を受診することをお勧めします。また、膣カンジダ症にかかった場合、感染をパートナーにうつす可能性もあるため、完治するまで性行為は控えることが賢明です。