不育症とは
「不育症」とは、妊娠しているにもかかわらず、2回以上流産または死産を経験する状態を指します。不育症に関しては、その原因が完全に解明されていない場合が多く、検査を行っても原因が特定できないことがしばしばあります。ただし、不育症の患者において、一定の頻度で特定の異常が見られることがあり、これらの異常が「リスク因子」として認識されています。
具体的な数字はわかりませんが、日本における不育症の患者数は多いとされています。年間数万人以上の妊娠中に不育症の可能性があるとされており、不育症は多くのカップルに影響を与えています。
不育症の原因
不育症の原因としては、染色体異常や子宮の異常、ホルモンバランスの異常、免疫系の異常、生活習慣、環境因子、高齢出産などがあります。詳しくは「不育症の原因」のページをご覧ください。
不育症の検査
不育症の検査としては、子宮形態検査や染色体検査、ホルモン検査(内分泌代謝検査)、抗リン脂質抗体検査などを行います。詳しくは「不育症の検査」のページをご覧ください。持つことを推奨します。
不育症の治療
子宮形態異常
子宮の形態によって、手術が必要な場合と必要でない場合があります。症状に応じて経過観察が行われることもあります。
内分泌異常
甲状腺機能亢進・低下症の場合、正常な状態に調整された後に妊娠することが重要です。妊娠後も適切な治療が続けられる必要があります。糖尿病の場合も、適切なコントロールを行った上で妊娠を検討します。
免疫異常
抗リン脂質抗体症候群の場合、血栓症のリスクが高まるため、低用量アスピリンとヘパリンの併用療法が検討されます。また、血液凝固因子異常がある場合も、低用量アスピリンの単独使用または低用量アスピリンとヘパリンの併用療法が検討されます。ヘパリンカルシウムの在宅自己注射も保険適応となっております。
夫婦染色体異常
染色体異常の検査は、遺伝カウンセリングを受けた後に行います。染色体異常の種類に応じて治療方針が決定されます。リスク因子に応じて適切な治療を受けることで、流産のリスクを減少させることが可能です。
流産をしたら
不育症の検査を
したほうがいい?
一般的に、1回の流産ではリスク因子の検査は通常必要ありません。ただし、2回以上または3回以上の繰り返し流産がある場合、両親のどちらかにリスク因子が存在する可能性が高いため、リスク因子の検査が推奨されます。また、1回の流産であっても、妊娠10週以降の流産、死産、早期新生児死亡の場合には、母体の要因が流産に寄与する可能性が高まります。そのため、検査を受けることは意義があります。ただし、不育症の大部分は原因不明であり、胎児の染色体異常が偶然繰り返されるだけの場合が多く、両親に特定のリスク因子があるわけではありません。したがって、検査を受けてもリスク因子が特定されない場合、安心して次の妊娠に取り組むことができます。