完全自然周期体外受精とは
完全自然周期体外受精は、排卵誘発薬(内服または注射)を使わず、自然な月経周期内で卵胞を育て、それを受精させ、通常は新鮮な胚を移植する方法です。排卵誘発を行わないため、通常は1つの卵子しか採取できませんが、全卵胞採取を行うことで複数の卵子を回収できる場合もあります。
自然な月経周期を尊重し、卵巣や身体に負担をかけないようにすることを重視しています。
最初に、身体に負担をかけず、また医療的な介入を最小限にとどめ、できるだけ自然な方法で妊娠を目指すことからスタートします。排卵をコントロールしない場合は排卵キャンセルのリスクが高くなります。
完全自然周期体外受精を
お勧めする方
- 排卵誘発剤の副作用の既往があり、排卵誘発を希望しない場合
- 排卵誘発剤を使用しても1つの卵胞しか育たないと予想される場合(卵巣機能が著しく低い方)
- 過去に複数個の卵子を採取しても、受精卵の品質が極めて低かった場合
- 現在採卵数と採卵あたりの妊娠率は平行して上昇するという医学的な根拠が明らかになり、国際的に標準治療として卵巣刺激法は確立されており、完全自然周期はオプション的な治療となります
完全自然周期体外受精の
スケジュール
月経2~3日目
月経2〜3日目の初回診察は、治療サイクルの基盤となります。卵胞の数(直径約5mmの袋状組織で卵子を包む)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH E2などが計測され、前回の周期に残った卵胞(遺残卵胞)がないかも確認されます。完全自然周期では卵胞を育てる薬剤は使用せず、卵胞の成長が慎重に見守られます。
月経10~11日目
月経10〜11日目の2回目の診察は、治療サイクルの進行に合わせて行われます。卵胞の成長状況が確認され、必要に応じてホルモン検査が行われます。早い場合にはこの段階で採卵日が確定します。
排卵日の決定・準備
採卵日(予定採卵日)の決定と準備は、数回の診察の後に行われます。女性ホルモン値と主要卵胞の大きさが最適な状態に達した時点で、採卵日が決まります。通常、女性ホルモンが約250pg/mlに達すると、採卵の準備が始まります。脳から分泌される排卵を促すホルモン(LH:黄体化ホルモン)が上昇しない場合、GnRHアゴニストとして知られる点鼻薬(ブセレキュアなど)を使用して、人工的に上昇させ、2日後の午前中に採卵が行われます(予定採卵)。ただし、LHが予想よりも早く上昇してしまう場合、自然のタイミングに従って、当日または翌日に緊急採卵が行われることになります。